心と体に効くアロマテラピー

季節ごとに生じる心や体の不調を取り除き、心地よい空間をつくるために、
香りを生活に取り入れてみませんか?

★アロマテラピーとは?(香りのもつ力)

★アロマテラピーの歴史

★エッセンシャルオイルの楽しみ方

★アロマレシピ


 はっきりとした四季のある日本では、季節ごとの風物詩を楽しむことが出来ます。乾燥した寒い冬、逆に蒸し暑い夏・・・その気候の変化から、体の不調を起こすことも。
アロマテラピーを生活に取り入れることで、そんな季節ごとに抱える問題に、楽しく前向きに対応することができます。

★★  アロマテラピーとは? (香りのもつ力) ★★
○香りの持っている力
 私たちは、普段何気なくさまざまな香りや匂いに囲まれて生活しています。そして、意識するしないに関わらず、それらは私たちの心身に対して想像以上に
大きな働きかけをしているのです。

 例えば食事。どんな高級料理も視覚と味覚だけではおいしいとは感じないのです。「匂い」があって食欲もそそられ、「ほんとにおいしい」と感じているのです。
 また、花のいい
香りをかぐだけで、穏やかな気分になったり、頭がすっきりすることもありますし、逆に街中の悪臭でイライラしたり、気分が悪くなったりすることもあります。

 香りには個人的な記憶や好き嫌いが影響していることは確かです。しかし、決してそれだけではなく、明らかにある
薬理的な作用が存在しているのです。
 一例をあげるとオレンジレモングレープフルーツといった柑橘類の香りは、うつ病、神経症といった精神科の症例に効果をあげることがわかっていますし、サイプレスサンダルウッド等は痰を排出して、気管支をスッキリさせる働きがあります。

 植物にはさまざまな香りがあり、それぞれに特有の作用があります。その中から私たちの体や心に役立つものを選び出し、最も
効果的な方法で利用しようというのが、アロマテラピーの基本なのです。
 そして、アロマテラピーは体のトラブルを部分だけでとらえずに、心も含めた全身的なものとしてとらえるのです。

 精油の成分には薬理作用があり、それを突き詰めていくと医療と重なる部分が多くあります。しかし、アロマテラピーは、いわゆる医療ではありません。
   植物の香りの力を借りながら、
   穏やかにトラブルを和らげ、
   身心の健康を取り戻していこうとする 
自然療法なのです。

★★  アロマテラピーの歴史 ★★
○古代からあった芳香の知恵
 植物が持っている力を、身心の癒しに役立てようという考え方は、数千年前の古代文明の時代からありました。
 例えば、古代エジプトの壁画には、香油の壷や香炉を神にささげる人物が描かれており、「香り」の利用が当時の生活に根づいたものであったことを示しています。インダス文明の遺跡からは、精油(エッセンシャルオイル)を抽出するための器具が発見されたという記録もあります。

 また、2〜3世紀の漢の時代にまとめられ5世紀末に再編された漢方の原典のひとつである「神農本草経」(しんのうほんぞうきょう)という書物には、「自然界で薬に使えるもの」として750種類の物質があげられていますが、そのうちの多くは植物なのです。
 古代の人々の植物活用方法を、そのまま現代に当てはめることはできないにしろ、アロマテラピーの根本をなす知恵は、
人類の文明のスタートとともにあったといってもいいでしょう。

○西洋医学とアロマテラピー
 精油は医薬であり、芳香療法は医療であった。こう書くと驚かれる人もいるでしょう。しかし、西洋医学の祖として知られるヒポクラテスや、「マテリア・メディカ(薬物誌)」(さまぎまな事物を研究、分類した本で、600種類もの植物が取り上げられています)を著した医師・ディオスコリデスらが活躍したローマ時代から18世把にいたるまで、アロマテラピーは∃一ロッパで医学の重要な柱だったのです。

 薫香や浸剤(煎じて使う方法)が主体だった芳香利用の歴史の中で、大きな進歩の転機になったのは、11世妃のイブン・シーナ(アラビア人の哲学者・医学者)による精油蒸留法の確立でした。イブン・シーナが著した「医学典範(カノン)」は、その後長くヨーロッパの医科大学の教科書として使われ、精油とその応用方法は、中世ヨーロッパの修道院などで行われていた僧院医学さらには
16世紀から盛んになったハーブ医学へと受け継がれ発展したのです。

○現代のアロマテラピー
 
植物の芳香を利用する長い歴史からみると、「アロマテラピー」という言葉自体の誕生はずっと新しく、20世紀の到来を待たなくてはなりません。
 実験中に負った火傷がラベンダーの精油で回復したという自らの体験をきっかけに、精油の研究にのめり込んだフランスの化学者ルネ・モーリス・ガットフォセが、1928年ころに名付けたのが「アロマテラピー」という造語なのです。
 ガットフォセが命名したころから、アロマテラピーは精油の殺菌、消炎など薬理作用を研究する医療的な色彩が濃くなっていきます。

 特にフランスではその傾向が強く、軍医として第二次世界大戦とインドシナ戦争に従軍した外科医ジャン・バルネは、精油から作った芳香薬剤で負傷者を治療した実体験をもとに「アロマテラピー」(邦訳「ジャン・バルネ博士の植物=芳香療法」)を著し、多くの医師や薬剤師にその効果を伝えました。

 現代のアロマテラピーは、いわゆる近代西洋医学とは一線を画し、
大自然の力を穏やかに活用する療法として発展していますが、その発展の過程は、マルクリットモーリー、ロバートティスランドという二人の人物の存在を抜きには語れません。
 マルクリット・モーリーは、精油を植物油に着駅してマッサージすることで身心のバランスを正常にするという方法論を示した生化学者で、彼女の著書「最も大切なもの…若さ」は、イギリスのアロマテラピーに多大な影響を与え、ホリスティツク(全体的な)・アロマテラピーのきっかけとなりました。

 一方のロバートティスランドは、モーリー夫人ら先人の理論や方法論を体系的にまとめあげた人物で、その著書「芳香療法・理論と実際」は、母国イギリスだけでなく、日本のアロマテラピー界発展にも大きな役割を果たしたのです。

(双葉社発行:日本アロマテラピー協会監修「アロマテラピーの資格を取るための本」より)

★★  エッセンシャルオイルの楽しみ方 ★★
いつもの暮らしに香りを取り入れてみる
小さな自然にきっと出逢えます。
 精油を室内に香らせて、その芳香を楽しむと同時に嗅覚を通して作用を体内に取り入れる方法です。シダーウッドラベンダー、ティートリーなど殺菌作用の高い精油なら部屋の消毒にも有効です。

 芳香浴の器具(芳香拡散器)にはバーナーや蒸発器があります。バーナーは、精油を1〜5滴たらした少量のお湯を上皿に入れ、それを下から加熱して揮発させるという方式で、熱源にろうそくの火を使うタイプと電気式のタイプがあります。また、蒸発器は内蔵ファンによって精油の混じった蒸気を室内に拡散するものです。

 夜疲れた時に、ついいい気持ちになって眠ってしまうこともしばしば。そんな時の安全性はしっかり確保してお使いになることが大事です。
 もっと手軽にというのなら、ティッシュペーパーやハンカチに精油を1〜2滴落としたり、ティーカップなどに熱湯を入れて精油を数滴たらしてもかまいません。ただ、芳香拡散器にくらべると効果の持続時間は当然短くなります。

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デスクの片隅に アロマブリーズ を置いて
香りのそよ風を受けながらお仕事。
そんなあそび心、持ってみませんか?
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◆ポプリや造花に香りをプラス
 ドライポプリや造花に1〜6滴落とし、玄関やテーブルの上に。置き場所に合わせて香りをお選び下さい。

◆お風呂に落としてアロマバス
 バスタブに1〜6滴落としてよくかき混ぜてから入浴して下さい。天然ハーブの香りで、リラックス&リフレッシュ。

 ※檜風呂なら、『ヒノキオイル』を落とすだけ。超カンタン!
●入浴時に使う
 
檜風呂、ユズ湯、菖蒲湯など植物湯の知恵は古くからありましたが、手間がかかることもあって、とくに家庭風呂でそういう体験をすることはほとんどなくなりました。
 しかし、精油を入浴剤として使えば、簡単に自然の植物の香りにひたる入浴空間を作ることができます。香りをかぐ、湯気を吸入する、皮膚からの浸透とすべてのルートから精油の作用を取り入れられますし、入浴自体にリラックスなどいろいろな効果があるので、それとの相乗効果も期待できるのです。

 ただし、精油を入浴時に使用するには注意が必要です。精油はほとんど水に溶けないため、お湯に直接入れるとき、精油を入れ過ぎてしまうと十分に拡散されず肌や粘膿に直接触れてしまい、精油の種類によっては肌に対しての刺激となる場合があるのです。そこで、刺激を防ぐために
精油を希釈してお湯に入れて使用する方法もあります。

 精油を希釈するときは、キャリアオイル(べ一スオイルともいう)という植物油を使うのがふつうです。キャリアオイル10mlに精油5滴以下を加えてよく溶かしてから、バスタブに入れるという方法です。なお、入浴専用として乳化剤の入った
バス用ベースオイルも市販されています。

 天然塩に精油を混ぜる希釈方法もあります。天然塩50gに精油4〜5滴を加えるのがバスソルト作りの目安です。
 入浴時の湯温や入浴時間は、リラックスしたいときはぬるめで長く、しゃきっとしたいときは熟めで短時間というように、目的によって変わります(もちろん精油も変えます)。リラックス目的で長時間入浴するなら、みぞおちあたりまで湯につかる半身浴も体に負担の少ないいい方法です。半身浴のときは、全身浴よりも少ない3滴以下の精油でいいでしょう。

 いずれの場合もお湯をバスタブにはって
入浴する直前に精油を入れるようにします。精油は熟で揮発するので、時間がたつとせっかくの効果が逃げてしまいます。

●部分浴
 
時間がないとか、病気などで入浴できないときに、気軽にアロマテラピーを楽しむ有効な方法が体の−部だけをお湯につける部分浴です。

 ◎手浴
 
洗面器やシンクにお湯をはり、精油を3滴以下たらしてよくかきまぜてから、両手首までを浸します。時間は10分間ほど。想像以上の気分転換になります。

 ◎足浴
 
洗面器かバケツにお湯をはり、精油を3滴以下まぜて両足首までをひたします。時間はやはリ10分間程度。疲れが取れるほか冷え性の人にも効果があり、冬場などはこれだけで体がぽかぽかしてきます。

 ◎座浴
 痔、膣カンジダ症、かゆみなどの症状を和らげるのに効果のある方法です。ベビーバスやたらいにお湯をはり、入浴に使うのと同じ希釈した精油をまぜて10分間ほどお尻を浸します。

◆こころを解きほぐすアロママッサージ
 お好きなオイルをブレンドして、気の合うパートナーと一緒ならもっと効果的。

●アロママッサージ  ( ☆マッサージのやり方
 
精油を使ったアロママッサージもアロマテラピーの大きな柱です。精油の吸入、皮膚からの浸透に体をもみほぐすことの効果が加わるとても有効な方法なので、アロマテラピーを職業にする人の多くもアロママッサージを重視しています。
 アロママッサージでは、精油をキャリアオイルで希釈して作ったブレンドオイルを使用し、精油を直接肌につけることは絶対にありません。

 ブレンドオイルは、キャリアオイルの量(1回で使い切るのが原則)に対して濃度が1%以下になるように精油の滴数を計算して作ります。例えばキャリアオイル20mlなら精油合計4滴というように。1%はひとつの目安なので、もっと薄くてもかまいません。
 ブレンドオイルができたら、それを少し手にとってトリートメントする部分にのばし、さすったりもんだりします。家庭で自分や家族に対して行うのなら、専門的な手技の知識は不要です。いつものように肩をもむ、これにブレンドオイルを加えるだけで、気持ち良さは倍増するはずです。
 家庭で自分だけのためにが前提ですが、精油を使って化粧水やスキンケアオイル、ハンドクリームなどを作ることもできます。

●湿布をする
 
頭痛や腰痛といった局所的な症状や便秘、下痢などに対しては、湿布を使うこともあります。
 洗面器にお湯を入れて精油を1〜2滴落とし、タオルや木綿の布を浸したあと軽く絞って患部に当てがうという方法で、布をラップでおおい、さらにタオルを巻くと効果的です。温湿布のほかに冷湿布という方法もあります。