脳に健康と若さをもたらすブレインフード
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脳は約140億個もの神経細胞をもっている 脳は、約140億個もの神経細胞で形づくられている器官です。重量は、成人の場合で体重の2%(約1400g前後)しかありませんが、人体で使う酵素とブドウ糖の約20%を消費する大食漢です。 ほかの臓器は、エネルギー源として糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素をどれでも使えますが、脳はブドウ糖しか利用できません。 では、脳に栄養を与えるにはただ単にブドウ糖を大量に摂取すればよいのか?というと、残念ながらそうではありません。脳細胞が正常に働かないと、ブドウ糖を脳に取り込むことができないことがわかっています。 DHAやリン脂質の一種であるホスファチジルセリン、イチョウ葉などは脳細胞を活性化する素材として注目され、それらは「ブレインフード(脳機能改善食品)」と呼ばれています。つまり、ブレインフードとは、脳の働きをよくする栄養素のことです。
加齢とともに、情報をやりとりするシナプス伝達は衰える 脳の神経細胞の数は、生まれたときにすでに決まっていて、その後増えることはありません。しかも、30歳頃から細胞の数は1日10万個もの単位で減っていくといわれています。 あらゆる器官のコントロールセンターである脳は、常に多量の酸素と栄養素を必要としています。このため、少しでも血流が悪くなるとたちまち脳が栄養不足に陥ります。 脳の障害である認知症(痴呆症)には、大きく分けて「脳血管性認知症」と「アルツハイマー型認知症」がありますが、脳血管性認知症は脳への血流が悪くなり、慢性的な酸素や栄養不足から発症する病気です。 また、脳は神経細胞(ニューロン)同士で情報を伝達しながら働いていますが、この機能も加齢とともに衰えることがわかっています。ニューロン同士の情報伝達は、神経細胞の端のシナプスで行なわれますが、細胞同士はぴったりとくっついているわけではありません。一方の神経細胞から放出された神経伝達物質が、隣の細胞までのわずかな隙間を泳ぎ、相手の受け口(受容体)にくっつくことで、情報が伝達されます。 この神経伝達物質は、加齢によって合成力が衰えて分解も進み、減少してしまいます。一方、神経伝達物質を受け取る受容体も、加齢とともに受け取る能力が低下します。
脳は、何歳からでもアンチエイジングが可能 脳の神経細胞の数が加齢とともに減っていくのは、どうすることもできません。しかし、140億個の中の10万個ですから、数の減少をさほど気にする必要はありません。それよりも、のこっている神経細胞をどう活性化させるかのほうが、より重要です。 脳のアンチエイジングのポイントは、「血行改善」と「細胞膜の柔軟性を保つ」ことにあります。血行の流れを改善して十分な酸素と栄養分が供給され、細胞膜の柔軟性が保たれて情報がスムーズに伝達されれば、脳の機能は復活します。 脳の機能改善に役立つブレインフードといわれる栄養成分を摂り続ければ、老化の予防はもちろんのこと、ストレスなどによる脳の酷使から脳の健康を守ることができます。
DHAは記憶や学習に関係する「海馬」に多く存在 DHA(ドコサヘキサエン酸)は、マグロやイワシ、サバなどの背の青い魚の脂肪に多く含まれている脂肪酸です。冷たい海の住む魚の脂なので、マイナス数十度の低温でも液体のままで固まることはありません。 とくに記憶力や学習能力に関係する「海馬」には20%以上の高濃度で存在しています。アルツハイマー型認知症の患者では、海馬のDHAが同年代の人の約半分にまで減っているという報告もあります。 神経、血管壁などの「細胞膜」の柔軟性を高める DHAには、細胞膜を柔軟にする働きがあります。これは脳にとって大変重要なことです。神経細胞の膜が軟らかいと、シナプスでの神経伝達物質の生産性が高まります。神経伝達物質のやりとりも円滑になって、脳内の情報伝達がスムーズになります。 また、血管壁の細胞膜もやわらかくなるので、心臓から血液が勢いよく流れ出たときに血管が広がって、血圧が高くなりません。さらに、赤血球の膜もやわらかくなって、狭い血管をサラサラと流れるようになります。実際に、魚を多く食べている漁村の人は、農村の人よりも10年分くらい血管が若く、動脈硬化や高血圧が少ないという報告があるほどです。
ホスファチジルセリンは、神経細胞に多いリン脂質 ホスファチジルセリンは、人間の体を構成している約60兆個の細胞膜に含まれているリン脂質の一種です。脳の神経細胞にとくに多く存在することから「脳の栄養素」とも呼ばれています。 ホスファチジルセリンは細胞膜をやわらかく保つことで、神経細胞を丈夫にすることや、神経細胞の正常な機能を保つ働きがあるといわれています。 神経細胞を活性化して記憶力を高める 脳の神経細胞は、ネットワークをつくるためにその先端にある突起部分を伸ばして、隣の神経細胞から送られてくる情報をキャッチしています。そして、受信した情報を神経伝達物質に変えて、別の神経細胞に伝えます。こうした働きの原動力になっているのが、神経細胞の膜に含まれているホスファチジルセリンです。 脳の中にホスファチジルセリンが豊富にあると、神経細胞の流動性が高まって神経伝達物質をキャッチできる守備範囲が広がります。また、神経伝達物質をつくる原料ともなって、盛んに放出させます。つまり、脳の情報ネットワークを活発化しているのです。 実際に、アルツハイマー型認知症の患者さんにホスファチジルセリンを12週間投与した実験では、記憶力や学習能力が向上して、全体的には約12歳も記憶力が若返りました。 また、ホスファチジルセリンには、脳のエネルギー源であるブドウ糖の取り込みを促して、脳の活動を活発にする働きもあります。
イチョウの青葉から抽出したものがイチョウ葉エキスです。ヨーロッパでは脳や抹消血管の血行改善、認知症の医薬品として30年以上の実績があり、サプリメントとしても人気が高いものです。 エキスには40種類もの成分が含まれていますが、主な有効成分はフラボノイドとテルペンラクトン。これらの成分をエキスの形で一緒に摂ると、その相乗効果で脳機能の改善に役立ちます。 イチョウ葉エキスのフラボノイドには毛細血管を適度に広げる作用があり、神経細胞に酸素や栄養素を十分に送り込みます。イチョウ葉エキスの血管拡張作用は即効性があるのが特徴で、数日以内に効果が現れてきます。 イチョウ葉エキスに特有なテルペンラクトンのギンコライドやビロバライドには、血栓をつくる物質の働きを妨げる作用があり、血液をサラサラな状態に保ちます。さらに、神経細胞の保護に働くこともわかっています。酸素が少ない状態にも耐えられる力を、イチョウ葉エキスは高めることができるのです。 イチョウ葉エキスの効果は、脳だけではなく、冷え性や肩こり、腰痛など、血行不良に伴うさまさ゜まな症状の緩和にも役立ちます。
食品から摂りにくい成分はサプリメントの利用を DHAは背の青い魚に多く含まれています。毎日の食生活では1日400mgくらいは摂れていますが、健康維持のためには、さらにマイワシ約小1尾、サンマ約半尾位など、もう少し青魚を食べる必要があります。気をつけていても、なかなか青魚を取れないなど、DHAが足りない場合には、サプリメントで補う工夫も大切です。物忘れがひどくなったなどの自覚症状があるときは、より意識して補うようにしましょう。 ホスファチジルセリンは、肉類や魚類などに比較的多く含まれていますが、食品から十分な量を摂るのは大変むずかしいとされています。最低でも1日に100mgを摂りたいので、サプリメントを利用するとよいでしょう。 イチョウ葉エキスは、ヨーロッパでは1日120mgという有効量が示されています。イチョウの葉そのものには、ギンコール酸という炎症を起こす物質が含まれているので、これを除去したものをサプリメントとして利用することになります。 3つの成分を併用すると素晴らしい相乗効果が 3つのブレインフード、DHA、ホスファチジルセリン、イチョウ葉エキスは、それぞれ異なるメカニズムで作用します。脳の機能を高めるという目的は同じですが働き方が異なるので、全部を組み合わせて摂るとすばらしい相乗効果が得られます。3つの成分を併用するのが望ましいでしょう。 特にDHAとイチョウ葉エキスは、併用によって効果が高まるという研究報告があります。上手に組み合わせて摂取してください。
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