活性酸素はある程度は必要、しかし多すぎると体を酸化させてしまう
りんごを切って放置しておくと、切り口が変色します。これは空気中の酸素によつてりんごが「酸化」されたからです。私達の体の中でも、酸素を取り込んでりんごの切り口と同じようなことが起きてしまうのです。
実際に脳などの体内の組織は、年齢を重ねるごとに酸化されて色がついてきます。あちこちが酸化されて、少しずつ機能が弱まって老化していくのです。
一方、体の中の細胞では酸素と栄養からエネルギーを作り出すときに、酸素よりも力の強い「活性酸素」ができます。活性酸素のほとんどは水に変化して尿や汗から排泄されますが、2〜5%ぐらいは水にならずに体の中に残ってしまいます。
活性酸素は殺菌作用があり免疫の働きを助ける面もあるので、必要なものですが、でき過ぎてしまうことが問題です。体の正常な細胞まで傷つけて酸化させて、ガンや動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす要因になってしまいます。
成人病の90%は、老化という退行性変化にその原因があります。心臓病、ほとんどのガン、成人性糖尿病、脳卒中、高血圧、骨粗鬆症、骨関節症、自己免疫疾患、緑内障、アルツハイマー病などは、いづれもそうです。
人間が生きていく上で、必要な酸素。ところがその酸素が突然牙を剥くのです。活性酸素はストレスや喫煙、排気ガス、紫外線、放射線などによっても発生することが知られています。
ここでは、病的な老化を予防し若々しく生きるための提案をしています。
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1.ガンを予防する「デザイナーフーズプログラム」 |
「デザイナーフーズプログラム」ってご存知ですか。これは90年、2000万ドルの予算でスタートしたアメリカ国立ガン研究所のプロジェクト名称です。目的はガンによる死亡を減らし、ガンを予防すること。発ガン原因はいまだ完全には解明されていませんが、原因の3分の1以上は食生活に由来すると考えられています。
世界的な疫学調査の結果、過去10年間に「ガン予防効果を示唆する」という統計上の効果が認められた40種類の食品が発表されました。
その上位を紹介すると、にんにくを筆頭にキャベツ、あしたば、大豆、しょうが、セリ科植物(にんじん、セロリ、パセリなど)、たまねぎ、茶、ウコン、玄米、オレンジ、トマト、ブロッコリー、ピーマン、バジル、タイム、大麦、ローズマリー、アヤムラサキと続き、いずれも活性酸素などによるDNAの損傷を防いでガンを抑制することが証明されている食品。免疫力を高め、生活習慣病の予防にも有効です。
大切なのは少しでもよいから毎日摂り続けること。食生活を見直してみませんか。
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2.坑酸化ビタミンを多く摂ってサビを防ぐ |
私たちの体には、もともと活性酸素に対抗するための強力な坑酸化物質が備わっています。例えば、体内で作られるSDO(スーパーオキシドジスムターゼ)という酵素ですが、この酵素の働きは年齢とともに低下してしまいます。ですから、SDOと同じ働きをしてくれる坑酸化成分などを摂らなければなりません。
その代表的な成分は、野菜に含まれるベータカロテン、ビタミンC、ビタミンEです。ビタミンEはおもに植物の種子などの油に溶けて存在しています。また、ハーブのイチョウ葉やブルーベリーなどにも強い坑酸化成分が含まれています。ハーブや野菜のパワーを活用して、活性酸素の働きを抑え、健康的な毎日を過ごしましょう。
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3.ハーブは古くから健康を支えてきた薬用植物
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世界のさまざまな地域でハーブは健康に役立ってきた
古代から、薬草をもんで切り傷にすり込むと治りが早いとか、煎じて飲むと腹痛が治るとか、人々の経験から健康に役立てられてきました。薬としての用途のほかに、保存料としての役割も重要です。古代エジプトでは、ミイラの保存にハーブが使われていました。中でも、ニンニク、コショウ、タイムなど香辛料として使われるものの多くは、肉や魚の腐敗を抑える働きがあります。
肉の保存料、消毒薬として活用されてきた 「タイム」
主な成分:チモール/フラボノイド
芳香が強く、殺菌や防腐効果が高い。また、古くから消毒薬や、鎮咳薬としても用いられてきた。香りの成分、チモールなどのテルペン類は、坑酸化作用が高く、抗菌効果なども報告されている。 |
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疲労回復効果が高く、殺菌・抗菌作用も 「ニンニク」
主な成分:アリシン
強いにおいの成分がアリシン。アリシンはビタミンB1と結びついてアリチアミンとなる。アリチアミンは、血液中に長くとどまり、長い時間をかけてビタミンB1を利用することができるので、高い疲労回復効果が得られる。 |
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苦味成分アロインが消化機能を促進 「キダチアロエ」
主な成分:アロイン
古代エジプトで健胃薬として使われてきた。アロエの葉を切ったときに出てくる汁の苦味の中に、有効成分アロインが含まれている。アロインには、胃の働きを活発にして、腸のぜん動運動や排便を促す効能がある。 |
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4.ハーブの作用をさまざまに活用
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日頃から摂り入れることで、やさしく体の機能を保つ
ハーブは薬用植物ですから、食品として食べても薬効が得られます。肉や魚のにおい消しや風味付けなど、調理の際に使用してみることです。また、リラックス効果を期待するなら、ハーブティやエッセンシャルオイルをバスタブにたらすという使い方があります。殺菌や胃の健康にも役立つので、暮らしの中での活用方法はいろいろです。 |
坑酸化作用が高い、さわやかな香りのハーブ 「ローズマリー」
主な成分:ロスマノール/カルノソール
強くさわやかな香りには、精神を安定させる働きがあるとして、オイルに利用されている。ロスマノール、カルノソールなどの成分は坑酸化作用が高い。 |
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古くから咳止めや解熱の薬草として活用 「バジル」
主な成分:ロスマノール/フラボノイド
ヨーロッパでは、古くから料理に好んで用いられ、風邪症状を緩和する薬草としても活用されてきました。ロスマノールなどには高い坑酸化作用があります。 |
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香りの殺菌・防腐作用で食中毒を予防 「シソ」
主な成分:ベータカロテン/ポリフェノール(ロスマリン酸)/ヒタミンC/ペリルアルデヒド/フラボノイド(ルテオリン)
香りは、ペリルアルデヒドという精油成分。胃の消化酵素の分泌を促す食欲増進効果や、殺菌・防腐作用が強い。ポリフェノールのロスマリン酸やフラボノイドのルテオリンの成分は、花粉症などのアレルギーにも効果があります。 |
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目の疲労感をやわらげる色素成分 「ブルーベリー」
主な成分:アントシアニン
紫色の色素アントシアニンに視力を向上させたり、眼精疲労を改善する効能があることが知られています。そして強い坑酸化作用も持っています。 |
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尿路感染症の予防に役立つ 「クランベリー」
主な成分:プロアントシアニジン/キナ酸
クランベリーに含まれているポリフェノールの一種プロアントシアニジンには、細菌が尿管に付くのを妨げる作用があります。また、キナ酸という成分には、尿を酸性に保つことで、細菌の増殖を抑える働きがある。 |
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精油成分のミリスチシンに注目 「パセリ」
主な成分:ミリスチシン/フラボノイド/カロテノイド/ビタミンC/ビタミンE/鉄/カルシウム
古代ギリシャでは、食用の他に利尿薬や消化器の薬などとして用いられてきた。精油成分のミリスチシンには、坑ガン作用があるとされています。カロテノイド、ビタミンC、鉄、カルシウムなども多い。 |
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5.ハーブを自分の環境や体調に合わせて選ぶ
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食べ慣れないハーブはサプリメントを利用する
生活環境は人それぞれなので、万人に効くものはありません。まず、自分に必要と思われる有効成分を含んだハーブを選んで、試してみることです。ハーブの中には、シソやパセリのように身近にあり食べ慣れたものがある一方、イチョウ葉やマカ、エゾウコギのように食材としては見慣れないものもあり、手に入れることも困難です。そうしたハーブは有効成分などを抽出したサプリメントなどを利用してはいかがでしょうか。 |
血流を促進して、脳の働きを改善 「イチョウ葉」
主な成分:フラボノイド/ギンコライド
フラボノイドには血行を促進する働きがあり、ヨーロッパでは脳の血流改善や抹消血流改善に使われています。また、強い坑酸化作用もあります。ギンコライドはイチョウ葉だけに含まれている成分。血流の流れを改善して、血栓の形成を妨げる作用があるとされています。 |
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気分の落ち込みを癒す 「セントジョーンズワート」
主な成分:ヒペリシン
ヨーロッパでは古くから切り傷や火傷、軽いうつ症状の改善に利用されてきました。神経伝達物質のセロトニンの働きを正常に保ち、気分の落ち込みなどを改善するとされています。 |
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特有成分が肝臓の機能を高める 「ウコン」
主な成分:クルクミン/カルシウム/鉄/食物繊維
ウコン特有の黄色色素クルクミンには、肝臓の解毒作用を高める効果があり、アルコールを飲んだときに発生する活性酸素を抑制する働きが知られています。このほか、ウコンには精油成分など100種類もの有効成分が含まれており、坑炎症作用、健胃作用、血中コレステロールや中性脂肪を下げる作用などが認められています。 |
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体力の低下を回復させる 「高麗ニンジン」
主な成分:ジンセノサイド/各種ビタミン/各種ミネラル
中国では、根を乾燥させたものが五臓を補い延命効果にすぐれた生薬として、古くから珍重されてきました。サポニンの一種であるジンセノサイドという成分やビタミン、ミネラルなどが複合的に作用して免疫機能を高め、心身の疲労を回復させると考えられ、貧血、疲労、虚弱体質などに役立ちます。 |
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やる気や免疫力を向上させる 「エゾウコギ」
主な成分:エレウテロサイドE
主成分エレウテロサイドEには、持続力や免疫力を向上させ、ストレスをやわらげる働きがある。また、やる気を起こさせるホルモンと称されているβ-エンドルフィンの分泌を高める作用があります。 |
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持続力を増し精力を高める 「マカ」
主な成分:ベンジルイソチオシアネート/たんぱく質/カルシウム/鉄
古くから滋養・強壮作用にすぐれ、精力減退の改善、女性の月経不順や更年期障害の改善などによいと用いられています。芳香成分のベンジルイソチオシアネートが、男性の性機能の改善や女性のホルモンバランスの調整に役立っているとされています。 |
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6.野菜には2つの働きがある
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野菜には、2つの大きな役割があります。1つは食物繊維がたくさん摂れる食品だということ。もう1つはビタミンやミネラルの供給源としての働きです。
食物繊維は便をつくる材料として知られていますが、不要物を吸着して体の外へ運び出す働きがあります。また、腸内細菌、なかでも善玉菌のエサとなって善玉菌を増やすのに役立っています。腸内環境を改善すれば免疫力を高めることになり、より高い健康レベルを保つために、さまざまな野菜をバランスよく摂ることが大切です。
もう1つの働きですが、人間は体内でビタミンやミネラルをつくることがほとんどできません。食物から摂るしかないのです。しかし、野菜は自分でビタミンCやカロテンなどを合成することができます。ミネラルは畑の土から吸収します。だからこそ私たち人間は日常的に野菜のもつビタミンやミネラルを摂る必要があるのです。 |
栄養素の高いスーパー野菜 「ケール」
主な成分:イソチオンアネート/葉緑素/カロテノイド/ビタミンB群/ビタミンC/フラボノイド/カルシウム
葉緑素が多く、栄養成分の濃度が格段に高い。硫化化合物の一種イソチオシアネートは、坑酸化物質。活性酸素によって引き起こされる生活習慣病やガン予防に、期待が集まっている。 |
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イソフラボンにはエストロゲン同様作用がある 「ダイズ」
主な成分:イソフラボン/レシチン/サポニン/たんぱく質リノール酸/ビタミンB1/ビタミンE/カルシウム/鉄
イソフラボンには女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあり、更年期の心身の不調をやわらげるとともに、加齢にともなう骨粗鬆症の進行を防ぐ効果が期待されています。また、コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあるといわれるレシチンなど、生活習慣病の予防に役立つ成分が多い。 |
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有効成分スルフォラファンに着目 「ブロッコリー」
主な成分:スルフォラファン/カロテノイド/硫黄化合物/フラボノイド/ビタミンC/食物繊維/カリウム
フラボノイドやスルフォラファンがガン予防に有効とされています。ビタミンCをはじめカロテノイドなど坑酸化作用のある栄養素が豊富で、食物繊維やカリウムも富んでいます。 |
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辛み成分にさまざまな健康増進効果が 「タマネギ」
主な成分:硫黄化合物/ケルセチン
特有の辛みは硫黄化合物の硫化アリルを含むネギ油と呼ばれる成分。これと、ケルセチンなどのフラボノイドに、血栓や動脈硬化の予防効果があると報告されています。その他ガン予防に効果があることも知られています。 |
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黄色の色素カルコンに有効成分 「あしたば」
主な成分:カルコン/葉緑素/各種ビタミン/カルシウム/食物繊維
食物繊維を多く含み、各種ビタミン、カルシウム、鉄分など栄養素が優れている。葉や茎をちぎると出てくる黄色い汁には、フラボノイド類のカルコンが含まれ、便通を整える機能のほか、抗菌作用や坑腫瘍作用が報告されています。 |
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香り成分アピインが精神安定に役立つ 「セロリ」
主な成分:アピイン/カロテノイド/カリウム
セロリの種子は欧米では古くから利尿剤として使われてきました。香りのもとと成っているアピインにはイライラや頭痛をやわらげる機能があるとされています。また、強い坑酸化作用を持ち、高血圧を抑える効果があるともいわれています。 |
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β-グルカン(D-フラクション)が免疫力を高める 「マイタケ」
主な成分:β-グルカン(D-フラクション)/ビタミンD
キノコ類に多く含まれているβ-グルカン(D-フラクション)には、外敵を攻撃する免疫細胞を活性化する働きがある。また、マイタケに含まれているD−フラクションには、坑ガン作用があるとして現在も研究が進められています。
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7.赤や緑、紫色などの色素は野菜が自らを守るために作り出した成分
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ニンジンやトマトなどの鮮やかな色のもとになっている色素は、カロテノイドといいます。緑色のクロロフィルや紫色のアントシアニンなどさまざまな色のフラボノイドという色素があります。野菜の色素は、紫外線から身を守るために野菜が自らつくり出す成分です。その証拠に、紫外線があたらない場所に置いておくと、野菜の色はしだいにあせていきます。
色素には多くの作用があると考えられていますが、特に体の酸化(細胞のサビつき)を防ぐ坑酸化作用が注目されています。例えば、心疾患の原因となる動脈硬化は、酸化されたLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が血管に沈着することで引き起こされます。リコペンなどのカロテノイドや、アントシアニンなどは、体の酸化、すなわちサビを抑える働きが期待できます。いろいろな種類の色素を摂ることで、さまざまな疾患の予防効果があります。
野菜にはまだ知られていない特有の成分が含まれていると考えられますから、多くの種類の野菜を摂ることが若さと健康維持のポイントになります。 |
赤い色素リコペンは坑酸化物質 「トマト」
主な成分:リコペン/ベータカロテン/ビタミンC
カロテノイドの赤い色素リコペンには坑酸化作用があり、LDL(悪玉コレストロール)の酸化を妨げる働きがあります。また、リコペンは他のカロテノイドよりも、ガン細胞を抑制するという報告もあります。 |
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アントシアニンを豊富に含むさつまいも 「アヤムラサキ」
主な成分:アントシアニン/ビタミンC/カルシウム/食物繊維
さつまいものビタミンCは、でんぷんに包まれているので熱を加えても壊れにくいのが特長。アヤムラサキは天然着色料の原料として開発された品種で、紫色の色素アントシアニンを多量に含み、強い坑酸化作用を持ち、生活習慣病や老化防止、肝機能の改善などに効果があると報告されています。 |
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ベータカロテン含有量の多い代表的な野菜 「ニンジン」
主な成分:ベータカロテン/アルファカロテン/ルテイン/カルシウム
ニンジンの主成分ベータカロテンは、体の中で必要に応じてビタミンAに変換されて、粘膜を補強して免疫力を高めることにも役立ちます。また、活性酸素を抑制する働きがある。アルファカロテンにも発ガンを抑制する効果があると報告されています。 |
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